aoni 1st album “aonisai” release tour interview

2023.7.26 1st album “aonisai”をリリース、16本に及ぶツアーを経て2024.1.28 吉祥寺Warpにてワンマン・ツアーファイナルを成し遂げたaoniにインタビューを行いました。

Interviewer
芹澤希実(further platonic)

aoni
山下直人(Gt,Vo)
齋藤浩輔(Ba)
小林逸世(Dr)
松川育人(Gt)

写真
タカギタツヒト

芹澤:aonisaiツアーお疲れ様でした。
すごいです…よく頑張りました。

齋藤:16箇所。メンバー4人欠けることなくやりきりました。

芹澤:お疲れ様でした!
今回1st albumだったと思うんですけど、既存曲が多い中でそれぞれ思い入れのある曲とかありますか?

山下:特に印象に残った曲でいうと、やっぱり再録が多い中で新しくアルバム用に書き下ろした曲の4曲はとても思い入れがあるんですけど、”oxygen”はイントロから鳴ってるノイズであったり、ずっとチョーキングを繰り返すギターリフであったりが鳴ってるんですけど、それが僕がスタジオでおもむろに弾き始めたものだったんですね。でもそこに対して結構ビートの感じだったり、サビが「Break down!!」ってシャウトするような感じになったのとか、メンバーのバックグラウンドが混じり合った感じが「これこそaoniならでは」という作り方だったな、というのはものすごく感じていて、思い入れが深く、自分1人じゃ作れないなっていう感じでしたね。

芹澤:aoniらしいんだけど新しい感じがしました。

山下:最初はSONIC YOUTHのイメージであのリフを弾いたんですけど、思ったよりあのダルい感じにヘヴィーさも加わったというのがこの4人のバランスだなという感じがして。

芹澤:かっこいいですよね、一番ニッチな曲だよね。
蔦谷好位置さんがプレイリストに入れてくれてたよね。

山下:そうですね。

齋藤:齋藤からは6曲目の”BLUE”を推させてもらいます。
BLUEは僕がaoniをやろうって思う前からできてた曲で、18歳とか高校生の頃ですよね。aoniの曲って全部DADGADチューニングなんですけど、そのDADGADチューニングというものを知って、自宅でそのチューニングに合わせたギターをパーンと弾いてみた時にできた曲なんです。だからキーもめちゃくちゃだし、サビもウォーしか言ってないしみたいな感じなんですよね。
それでaoniをやろうってなった時に「やっぱりこの曲やりたいな」と思って、最初に声をかけた山下君に「こういうバンドやりたいんだよね」って聴かせた曲で、それを7年越しのフルアルバムに入れられたっていうのは自分の中の長い歴史振り返られるという意味でも良かったですね。

芹澤:”morning glory”が時系列的には一番最初ですよね?

山下:そうです。
ですし、その前にBLUEの1曲入りのCDを配ったりなんかもしてました。

芹澤:そうなんだ。

齋藤:あれってmorning gloryと音源一緒なんだっけ?
その前に一つまた別のBLUEの音源ってあるやんか?

山下:あるある。
初ライブの前に音源を録ろうとしたんですけど、それは結果的にお蔵入りになっちゃったんですよね。

齋藤:そうか、その音源を配ったんじゃなかったか。

松川:ちなみにその”BLUE”ってタイトルはaoniってバンド名をつける前と後、どっちにできたの?

齋藤:前からですね。そのDADGADチューニングで弾いて曲ができた時に「BLUEがいいな」って直感で思ったっていう。

松川:少年画家みたいなこと言うね。

芹澤:でも一応バンド名には由来してるってことかな?

齋藤:それがしてないんですよね。

山下:aoniというのは山下が考えたバンド名なんですけど、生まれて初めて書いた曲のタイトルが「青二才」っていうので、その青二才って言葉は自分の中にずっと残ってて、地元のバンドを解散して東京に来て「東京でバンドをやるか」ってなって、バンド名を決める会議でその青二才から取った「アオニ」というワードが自然と出てきたって感じです。
だからさっき話してた、曲名がBLUEであることとかとの関連性は実はないけど、齋藤発信のBLUEって曲があって、山下発信のaoniというバンド名があって、っていう部分が不思議とリンクしたということはバンドの成り立ちとして結構重要なのかもしれませんね。

小林:ちなみにこれは余談なんですけど、aoniじゃないバンド名の候補がもう一つあったんです。
山下から「もうほぼ確でaoniなんやけど、もう一個あって。The sumo(ザ・スモウ)ってどう?」って。

山下:それはアメフトみたいに競技の名前をつけようかなと。

松川:数あるスポーツの中から相撲にしたんだ。

小林:一応国技だから。

松川:アメリカンフットボールが国技だから日本の国技の相撲ってことでThe sumoにしようと。

齋藤:その時感心したんやけど、「最近スモウってバンド始めたんだよね」って人によく言えんわって思っちゃったよね。

小林:でもグッズとか作りやすかったかもね。

芹澤:笑

小林:僕のお気に入りは”minute”ですね。CD限定で入ってる一番最後の曲です。
好きです、単純に。

芹澤:かっこいいっす!

小林:制作秘話みたいなものでいうと、レコーディングの直前に齋藤が出してくれた曲で、「こんな雰囲気のこんなドラム叩いてもらって」って感じで、デモもほぼ出来上がった状態だったんですけど、シンプルにでかい音で叩くというミッションがすごく楽しかったです。
ということでCDを買っていないそこのあなた!買ってください!

芹澤:お願いします!
minuteはやっぱりaoniの曲の中だと一番短い?

小林:ダントツですね。

齋藤:社長からのお願いで作った曲ですね。

芹澤:ボーナストラック欲しいねってところからね。

齋藤:ボーナストラックなら短い曲かなということで。
ライブの最後にバーッと短い曲で盛り上がって終わるみたいなのもいいなと思って。

松川:メロディックパンクでよくあるよね。

芹澤:ワンマンもアンコールの前、本編最後これだったですもんね。

齋藤:ツアーで培ってきたセットリストの流れだったので。

芹澤:なんかもう自然とワンモアの声が来るというか。

山下:でもminuteみたいな曲って、聴く人によっては爽快感はないって感じる人もいるかもしれない曲というか、結構地下室感、アングラ感のある曲でアルバムを締めたりとか、ライブのセットリストも最後に入れたりもよくするし、そういう立ち位置にその曲があるというのも結構aoniのバンドの姿勢の表れでもある気がしてます。

齋藤:killieだとか近年影響を受けたものをいろいろ詰め込んだ感じなんですよね。

芹澤:ポストハードコアっぽい感じ?

山下:ポストハードコアでそんなショートチューンってあるもんなん?

一同:うーん。

山下:なんかポストハードコアって例えば”DRAMA”の間奏の長さとか、ああいう繰り返して熱を徐々に高めていくみたいな展開が特徴なんじゃないかな。それをショートチューンに落とし込んだのも面白さなのではっていうのは思ったね。

芹澤:そうだね。うん。

松川:では松川的に挙げるとしたらダントツで”ALONE”ですね。
aoniが徐々にオルタナティブだとかポストハードコアみたいな要素をみんなが取り入れていって、よりハードな曲がここ数年は結構増えてたと思うんですけど、このタイミングでこうして初期からやってきたようなストレートなギターロックを自分たちのアルバムのフラッグとして立てたというのはaoniがどういうバンドなのかというのを一番示せている曲なんじゃないかなって思う部分が大きな理由ですね。これができるのが俺たちなんだぜ、と。
あと、齋藤の歌詞がどれも好きなんですけど、このALONEに関してはとりわけ内省的だけど最終的には前向きに進むような表現っていうのがより曲にマッチしながら描かれていて、それを噛み締めながら演奏するのがまたいいなと思っています。

芹澤:いい曲だよね。
やっぱりこういう曲がないとアルバムとして成り立たないなと思います。

齋藤:でもこの曲結構怖かったんですよね。ファーストアルバムのリード曲って責任重大じゃないですか。いざ作るってなった時に、サビメロなんて5回くらい書き直してるし。

松川:たしかにスタジオで試行錯誤してたもんね。

齋藤:さっき言ってくれたように最近のaoniにしてはシンプルすぎないかなって思いながら録ってたんですけど、ツアーファイナルでみんなが全ガロングしてくれてるの見て「やっぱりこれくらいシンプルで伝わりやすいものを作ってよかったな」というのは思いました。

松川:誰しもがaoniの歩みを受け取ってくれるための1曲になったなっていう思いはあります。

山下:それこそminuteとかoxygenみたいな曲があることがオルタナティブ、ポストハードコア的なバックグラウンドがあるよという意思表示になっているのに対して、ALONEみたいな曲があるというのはすごく重要だったなと思ってます。

松川:old fashionっていうデジタル配信のミニアルバムに”parachute”っていう曲が収録されてて、それはaoniの結成当初からある曲なんですけど、メインのイントロのリフが最初アルペジオだったんですよ。でもリアレンジした時に、アルペジオからキャッチーな単音リフに直したりしたんですよね。それは齋藤の要望でキャッチーなフレーズにしたんですけどその時に「このバンドって決していなたいことをやるだけじゃなくて、メインストリームで活躍してるバンドのようなところに向けて表現してもいいんだ」って分かった瞬間だったんです。そういうことを知って活動を続けていたので今回のアルバムの中でもそういうハードな曲もありつつだけど、まさにALONEのような曲が生まれたというのは自分の中では腑に落ちるものでした。

芹澤:とっつきやすさみたいなね。でも所謂バラードみたいな曲になるのかな?

齋藤:そんな気持ちでも書きました、たしかに。

芹澤:テンポの感じとかね。

齋藤:そうですね。
あの曲って特に引用元とかもないんですよね。

芹澤:うん、なんかスッと入ってきます。

 ツアーのこと

芹澤:ツアー16箇所でそれぞれ印象に残った場所とか出来事とかある?

松川:俺はやっぱり広島がめちゃくちゃ印象に残ってるな。

山下:広島は今回のツアーの中でも本当に初めましてな感じだったというか、ライブハウスもだし、これまで繋がりがあったとかではなくずっとオファーのお話はいただいてたんですけど。

松川:ライブハウス(福山MUSICFACTORY)のブッカーの西田さんから長年お誘いいただいてた中でツアーで行くからということでようやく出演が実現したっていう場所でした。俺が今挙げたのはツアーにはどの場所にも一組くらい帯同バンドを連れていくっていう流れがあったんですけど、その友達のバンド以外本当に初めましてだったんですけど、誰も彼もが我々ツアーバンドを受け入れてくれて、その上でいい日にしようっていう心意気を感じるライブをみんな展開してくれて、そのおかげもあってか我々もすごく楽しく、そして熱いライブをすることができて、ツアーで地方に行く意味、いろんなバンドに囲まれてやることの意味をすごく感じることができたっていう点では自分は広島がとりわけすごかったなって思ってます。
打ち上げで唐揚げとか出てきたしね。

齋藤:手料理がいっぱい出てきたね。

芹澤:やっぱりそのブッキングの人がそれだけ熱い気持ちを持ってくれてたってことだよね。

齋藤:そうなんですよね。なかなかあんなに言ってくれる人いないですもん。

小林:特にここって話じゃないんですけど、我々今まで遠征というものはツアー含めずとも何本かはやってきたんですけど、俺らはどちらかと言うと人見知り寄りなので遠征先で打ち解けられなかったことがほとんどで、正直。今回のツアーまでは。
でも今回はどの会場でも受け入れてもらったなっていう感覚があって、それが単純に嬉しかったです。僕らが大人になっただけかもしれないですけど、なんか自分たちのやってきたことが結びついてきたんだなという感覚がありました。

松川:ちゃんと持ち帰るものがどこもあったツアーだったね。
これを16箇所半年かけてやり遂げたというのはいい経験だったなって思いますね。

芹澤:お客さんの数とかはあまり関係なくって感じかな?

齋藤:いやでも全箇所いい感じでしたよ。

松川:うん。どの会場にも「aoniを見にきた」っていうお客さんがいました。

齋藤:それがでかかったね。

芹澤:すごいね!売れたな~。

小林:そうかもしれないっすねえ。

芹澤:まあそういうのがモチベーションに繋がるよね。

松川:正直ツアーが進むにつれて自分は結構不安だったんですけど、ファイナルに向けて「あとはやるだけだ」みたいな気持ちは高まってきましたね。

芹澤:逆に辛い部分もあったりしましたか?

小林:まあ寝れた寝れないみたいな体力的な部分はもちろんありましたけどね。そんなもんかも。

齋藤:辛いじゃないですけど、仙台に行く時にエフェクターボード忘れたのは痛かったですね。
到着して気づいて、地元のバンドマンに「すいません」ってサンズアンプ借りにいったこととか。

芹澤:トラブルはあるよね。

山下:割と毎週末ライブがあるみたいな状況だったので結構がむしゃらに演奏の回数を重ねて「良くなっていってるな」という感覚もありつつ、立ち止まって考える時間がないなと思う瞬間はやっぱりあって、ワンマンのセットリストも当初は夏にもう組んじゃってバチバチに仕上げようと思ってたのが意外とワンマンが近づくまでセットリストが固まらなかったりとか。結構初めてのことだらけということもあったので。ワンマン自体そうだし、この規模のツアーも。だから例えば同じこともう一回やるってなったらもっとやれるかな、みたいな。

松川:学びはあったね。

山下:でもそれを上回る楽しさがあるツアーだったとは思います。

芹澤:うん、お疲れ様です。
次なんですけど、ファイナルはワンマンということでしたがどうでしたか?

松川:俺はお客さん3人くらいしか来ないと思ってた。

芹澤:あれってありなの?すごかったね。

松川:蓋を開けたらあんなにたくさんいて、かなりびっくりしました。

芹澤:入れてない人結構いたよ。

小林:さっきの曲の話の時にしようと思ったことなんですけど、BLUEがaoniにとっての始まりの曲なのでBLUEをやってる時に「BLUEをやってる」ってこともそうだし、「吉祥寺WARPでやってる」ってことも全部相まってですけど、「8年前の俺見てるか?」みたいな原点に立ち返ってライブができた感じがあって不思議な体験でした。

松川:途中加入だったから俺はなかったです。
やましーも思った?

山下:ああ思ったね。実際たしかにフラッシュバック的に昔見た光景がばーっと走馬灯のように駆け巡って、今見てる景色に繋がるみたいな感覚はありましたね。

齋藤:昔世話になった先輩とか、あの頃見てくれてた人たちいないかな、なんて思いながら演奏してましたね。実際地元の先輩がサプライズで来てくれてたりとかしたんですけど、そういうのはワンマンっぽくていいなと思いました。

松川:昔のお客さんで言うと、自分が初めてaoniのサポートメンバーとしてステージに立った時のライブを企画してくれた子が見にきてくれてたりして、自分にとっては初めてのステージがそこだったので、その子が来てるのを見て自分はここまで走ってきたんだなみたいなことを感じることができましたね。

芹澤:うんうん。

齋藤:オープンしてから僕は受付の横にいたんですよ。誰が来てるんやろってのを横で見たりしてたんですけど、もちろん顔馴染みのない人もいるんやけど、昔から来てくれてる人とか、友達とかいたらその人とのaoniとしての思い出を振り返ったりとかしてて、自分の演奏が始まる前から込み上げてくるものはありましたね。

芹澤:そうだよね。やっぱりaoniだけが目当てで来てくれてる人たちだからね。

小林:ちょっと話逸れるけど、全員が俺たちのために集まってる状況ってワンマンライブか結婚式かくらいしかないよねって話はしてたね。

松川:あと葬式ね。

小林:葬式は死んじゃってるじゃん。
まあ結婚式をメンバー誰もやったことないので分からないですけど、なんかああいう多幸感みたいなものが充満してたような気がします。

芹澤:そうだね。もう主役になれる瞬間というかね。

齋藤:なぜかワンマンやったっていう実感がなくて、だから今あまりうまいこと言えないですね。

小林:なんか場所に対する話ばっかりみたいになっちゃってるよね。

松川:ワンマンをやったという結果だけが自分の頭の中にインプットされてて、やってる時の感覚とかは正直あまり鮮明に出てこないんですよね。

芹澤:でもまたもう1回やりたいみたいな気持ちもある?

齋藤:ワンマンやりたいですね。

小林:やりたい。

松川:次は全てを記憶に刻みつけるように演奏したいです。

山下:どしっと構えたワンマンというのはやりたいね。

芹澤:準備とか手伝えなくてすいません。

齋藤:いやいや、来てくれただけでもう。
ゴウさん(weave vo.)もポストしてましたけど、今の芹さんのタスク量はエグいですよ。

松川:ここまでやってワンマンにも見にきてくれるのは本当にありがたいです。

 ROJIのことやLPの話

芹澤:今回クラウドファンディングでご協力いただいて、最初はカセットって話だったんですけど。

齋藤:僕はレコードは売れると思わなかったんですよね、電話もらった時は。

芹澤:ごめんなさい、僕もちょっと弱気になってカセットっていう提案にしちゃって。

齋藤:それで冗談混じりでaoniのみんなに「レコードって話もあったけどね」ってことを伝えたら、いくとが「いや、レコードでいくっしょ」って。

小林:あの時もう肩どころか両手両足回してるくらいの勢いでね。

松川:いやもう正直その話を聞いて、レコードをやる選択肢があるっていうんだったら絶対それしかないから。正直売れる売れない関係なく、俺が自腹全部切ってでもいいから絶対レコードを作りたいって思って、すごい勢いで言っちゃいました。

芹澤:ありがとうございます。一押しもらって。

齋藤:あの音像がレコードプレーヤーから流れるってどんな感じなんだろうってのは全然分からないです。

松川:同じく。レコードになってどう聴こえるかは未知の部分ではある。

齋藤:自分らが言うことでもないけど、aoniのサウンドって00年代のカーステレオでCDをかけて流れてくる音みたいなイメージじゃないですか。

芹澤:うんうん。

山下:mp3で聴いて気持ちいい音。

齋藤:そうそうそう。

小林:なるほどね。

齋藤:前作の”happy end”とかそのつもりで作ってたし。
レコードってそこからまたもうちょっと前の音じゃないですか。

芹澤:そうですね、はい。

齋藤:そりゃ周りのバンドがレコード化して、それを聴いたりとかもするけど、やっぱり自分のこととなるとまだ実感が湧かないというか想像つかないですよね。

芹澤:今回はレコード向けにリマスターだよね。

松川:はい。

芹澤:リミックスもするのかな。

松川:いや、リミックスまではしない予定です。もしかしたら調整するかもしれないですけど。

芹澤:うん、楽しみですね。

松川:この話が来る前からずっと何かのきっかけでLPにできないかなって思ってたので幸運が舞い込んできたと言っても過言ではないです。

芹澤:是非モノにしたいですね。ロマンだよね。

齋藤:僕はレコードを集めるのが趣味なので自分の作品がその中に入ってると嬉しいかもしれないし、すごく複雑な気持ちになるかもしれないですし。分からないですけど。

小林:俺は”donut”聴くの楽しみだな。

齋藤:たしかにdonutが一番レコードっぽいかもね。

芹澤:ちょっとクリーンめの方がレコードっぽいですよね。

齋藤:そうですね。

芹澤:特典もいろいろ付けていただくということで。既存曲を再録した新音源とか。

松川:そうです。もうドラムのレコーディングは済んでいるので、あとは竿のレコーディングして、って感じで。

芹澤:これは曲目はもう言えるんですか。

齋藤:”JIDAI”ですね。

芹澤:JIDAIはレコードには入れる?

齋藤:ごめんなさい、aonisaiはaonisaiとしてそのままいきたいです。それは入れないです。

芹澤:minuteは入る?

齋藤:minuteは入ります。

松川:できれば5曲目の”aonisai”からB面に入りたいですね。

芹澤:うんうん。

松川:特典は新録音源が付いてきたりとか、ツアーファイナルの映像が入ってたりとか、あとはブックレットが付いてくるっていう。

芹澤:すごいっすね。豪華ですね。

松川:どこに置いても恥ずかしくないセットになる予定です。

芹澤:ここに関してはaoniのご厚意で本当に。バンドの負担で作ってくれるって言ってくれて。その心意気が嬉しいですね。

松川:俺が1人で押し通したみたいなところはありますけど。

芹澤:楽しみです。

松川:頑張ります。

芹澤:コードブックも付くんだっけ?

山下:今から作ります。

小林:お、ニャホ監修の。

山下:はい。

芹澤:これは弾き語り用だよね。TAB譜というよりかは。

山下:でもちょっと迷ってて、可能な限り音源に入ってる山下パートのフレーズとか、これ弾けるといいよなっていうのはある程度分かるようにできればいいなと思ってます。例えばJIDAIのリフだったりとか。
まあJIDAI入れるとかまだ何も決めてないんですけど。

芹澤:アルバムの曲とは限らないんですね。

山下:そうですね。単純にaoniの曲の中からコード譜あるといいよなっていう曲を選ぼうかなと思ってます。”FIELD”は入れようと思ってて、それ以外はまだ何も決まってないです。

芹澤:”casino”とか気になりますけどね。

山下:ああ、いいかもしれないですね。
casinoはたしかに僕のコードワークが一個また広がった曲なんですよね。

齋藤:アコギ一本でも良さそうだよね。

山下:それでもいいかも、たしかに。

芹澤:ちょっとカバーしてもらってね。

山下:そうですね。いっぱいネットに”aoni弾いてみた”が上がるといいですね。

芹澤:そうですね。
クラウドファンディングだけじゃなくてaoniに繋がるような形で最後リターンできたらなと思います。

齋藤:もう十分ですよ。

山下:ありがとうございます。

芹澤:今後の活動とか聞きたいです。今回1st album作って、また次はEPとか出していく流れになるのかな、って思ってるんだけど何か考えてることとかある?

齋藤:まあアルバムっすかね。

芹澤:セカンド?

齋藤:そうですね。アルバムを出すということに今まで興味がなさすぎただけで、いざ出してみるともうアルバムのことしか考えられないっていう。「今まで俺は何をしてたんだろう」みたいな。

芹澤:LPに近い話だけど、ロマンというか。今単曲でサブスクとか多い中で、やっぱりアルバムになると全体の構成とか曲順とか、本当に作品って感じがより出るよね。

松川:コンセプティヴな作品を作るということが音楽をやっているなっていうのが感じられるものだと思うので。

芹澤:そうですね。まあ、中には「この曲はちょっとな」っていう風に思う人もいるかもしれないけど、そういうのも含めてね。

松川:アルバムを出すということがそういうものに迎合せずに自分たちが作りたい作品を出すということ自体がバンドとしてのあり方のようで、自分はいいなというのもちょっと思ったりしますね。

齋藤:その代わり1枚のアルバムの中でやっぱり幅を持たせないといけないなって思った瞬間もあったので、それは次からの課題かもしれないですね。

芹澤:結構バリエーションはあると思うけどね。飽きない感じ。

齋藤:絶妙なバランスですよね。

芹澤:今後、また何か全然違う新しいことをやっていこうみたいなビジョンもある?

齋藤:あります。
あるけど、分からないです。

山下:でも結構aonisaiが再録中心であったり、ファーストであるっていう部分から、作る前からある程度作風というか目指すところが見えてた部分もあったと思ってて、今度例えば新曲が中心になる2nd albumを作るとしたらそこってゼロから作る部分が大きいから、そこがまだ何も決まってないみたいな言い方になったと思うんですけどそれが逆にすごく楽しみではありますね。

芹澤:うんうん。

齋藤:でも我慢できずにたぶんシングルでぽんぽん出しちゃうと思いますけどね。

芹澤:そうだよね。分かる分かる。

松川:聴いてほしいもんね。

齋藤:まあ、今後の展望としては海外ツアーをやりたいですね。

芹澤:いいですね。
やりましょう。

松川:ファザフェス開催も。

小林:やりたいね。

齋藤:一番若造の俺らに何の権限もないけどな。

松川:言っとくだけタダだから。

小林:分からないけど、こういうのって下の世代から言った方がいい巡りになるのかもね。

山下:だし、”ファザフェス”って言葉を出した時に、結構みんな前向きではあるんですよ。”switchblade”のメンバー然り。

芹澤:ROJIの件で、今までリリースしてきたバンドの人たちがほとんど活動できていない状況なんですけど、結構支援してくれて、やれるバンドはやっぱりやってほしいなって思ってるんで。aoniともやってほしいなってバンドもいるし。
東京でできたらいいですね。

齋藤:東京で?

松川:三島じゃないんだ。

山下:じゃあ東京と三島でやりましょうよ。

芹澤:ROJIはちょっと狭いんですよ。

齋藤:たしかに演者だけで埋まっちゃうかも。

芹澤:ちょっとライブハウスって感じではなくなってきてるんですよね。

松川:作ってみたら意外とこじんまりしてたみたいな感じですか?

芹澤:そうですね。
オリーブ(横浜のスタジオ)まではいかないけど。

齋藤:三島にあると嬉しいサイズ感ではありますよね。

芹澤:そうだね。キャパは50〜70くらいですね。

齋藤:それってパツパツの50じゃないんですか?

芹澤:でも50は普通に入る感じはするよ。大丈夫だと思う。

齋藤:へえ。
でも20人くらいいたらいい感じに見えるってやつですよね?

芹澤:そうそう。

齋藤:それはツアーバンドからしたら正直ありがたいですよ。

山下:となるとバンド数多めにすると演者だけでかなり埋まっちゃうんですね。

芹澤:そうですね。

小林:まあどういう形であれ、ファザフェスやりたいですね。

芹澤:ありがとうございます。
逆にもっとこういうところに届けたいなとかそういうのとかはある?

山下:でも、ROJI特集で”HOLIDAY! RECORDS”のpodcastに(芹澤さんが)ゲスト出演してたのを聞いたんですけど、三島ではずっと”And Protector”とか”The Restaurant”以降の下の世代がなかなか続いてこなかったというのを聞いたので、僕らが東京から三島の人たちに直接働きかける部分は限りはあるんですけど、ROJIがきっかけで三島という地も盛り上がって、aoniは東京でやってて、switchbladeとかもいて、そういうところの縦の繋がりも距離的なものも超えた相互作用みたいなものがより強くなっていくといいなというのはすごく思いますね。
結構aoniの周りにいてくれてる僕らより年下のバンドやってる子たちとかはfurther platonicという存在を今回のリリースを通して知ってくれた人もいたのかなと思ったりもしたので、そこからまた繋がればというのは思います。

芹澤:やっぱり上の世代のバンドへの憧れもあるけどね。

山下:上も下も全部繋がるのが理想ですよね。

芹澤:そうですね。でもやっぱりaoniはそういう活動ができてるなって思うけどね。
まあ、レーベルって言ってるけど、何かに属してる感じはしないし。

齋藤:すいません、もうちょっと押していきます。

松川:レーベルもっとアピールしていきます。

芹澤:ありがとうございます。でも僕もそういうバンドが好きだから。
やっぱり場合によってはレーベルって身内ノリみたいに見られる可能性もあるし。

齋藤:それはそうですね。

芹澤:そういうのを見てきた部分もあるから。
だからファザフェスもやってないのかもね。言い訳だけど。

山下:いや、でも身内ノリは身内ノリで100%悪いわけではなくて、そこプラスでいかに開いていくかってことが意識できたらすごく大きな力になるというのはここ最近身の回りにかっこいいと思えるバンドが増えたことで結構思ったことなので、それをたとえばファザフェスをやるならやるで、そういうところにも活かしていきたいという気持ちはあるかもしれないです。
たとえばここがいい接着剤になるというか、そういうゲストバンドを一組呼ぶとか。

芹澤:そうですね。

齋藤:あとfurtherの人、みんな優しいから大丈夫ですよ。
俺がfurtherに出会ったのも名古屋の(further platonicの)イベントに遊びにいった時で、よく分からんやつが1人入っててもみんな受け入れてくれるみたいな、あの空気感があったから今やれてるというのはあります。

芹澤:うん。こちらこそです。

山下:そういう「イケてる俺たち」みたいなコミュニティができた時って疎外感を生んでしまうことも往々にしてあると思うんですけど、それがそんなにないと思うので芹澤さんのROJIをどういう場所にしていきたいか、っていうステートメントからも結構そういう開かれた場所を目指しているのかなというのは感じたので。

芹澤:そうですね。なるべく偏らないようにはやりたいですよね。
やっぱり僕も一緒にやりたいバンドとかもいるし、でも広がるやり方というのも考えていかないとだよね。だからそこにチャレンジしてる感じがaoniにはあるから。”ステファブ(Stereo Fabrication of Youth)”のこともそうだし。

齋藤:そうですね。挑戦し続けた8年間だったかもしれないですね。

松川:アスリートみたいなこと言うじゃん。

芹澤:情熱大陸じゃん。
まあ本当に10倍続くようにね。
※ワンマンの際、そういった旨の野次が飛んだことから

小林:80年か。

齋藤:寿命超えて、もうオリジナルメンバーもいないみたいな。

松川:概念ね。

芹澤:でもやっぱり僕らの周りのバンドとかだとファースト出して終わっちゃうバンドとかが結構いたもんで。aoniはそれは絶対ないと思う。でも、バンドの中で「これが完結だ」っていうタイミングが来るかもしれないし、それはそれで納得いく形でそうしてほしいし。
でもセカンド、サード、その先とかも楽しみだよね。

齋藤:まあ、ワンマンもまたやると思うし。
でもセカンド出す時にはもうちょっとバンドとしてのクオリティーを上げたいなっていうのはこのツアーを通してずっと思ってましたね。

芹澤:どういう面のクオリティー?

齋藤:主にライブでの演奏ですね。さっきの納得いく形で終わりたいって話もありましたけど、まだ全然納得いく形にはなってないので。

芹澤:次の作品もLPも楽しみにしてます。

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