前作「冤 -en」より、約3年振りとなる、初のフルレングスアルバムが完成した。結成15年目にして放たれる今作は、ツインドラムツインベースの重厚なリズムトラックをベースに、コンダクター/詩人であるreiji kawanoの煩悩や諸悪、ネガティブな心境、生活苦といった、等身大というには痛みが過ぎるリリック、またその心象を汲み取り多様に変化し包括するギターが重なり、聴く者の耳に突き刺さる。90s以降のエモ・ポストロック、ハードコア、ジャズ、ファンクを素直に享受したサウンドは、前作でも激情ヒップホップなどと称された。ジャンルに傾倒せず、音楽に敬愛を込め、人間にフォーカスを当てた今作は、歌詞というよりは私小説、ラップというよりはスポークンワードといった具合に、前人未踏で当然、歪でいて心の琴線に間違いなく触れる痛みのアルバムといえるだろう。
physical:  CD
digital: iTunes
Track List:

1.i(i) 2.シキ 3.最後の晩餐 4.i(ii) 5.灰の雫 6.dawn 7.夏越しの 8.i(iii) 9.goodby 10.贋世捨人